RESEARCH CONTENTS

研究内容

細胞・個体制御部門

目的・内容

個体における糖鎖集合体の役割を理解する

細胞・個体制御部門の目的は、生体において糖鎖の集合体が発揮する機能の原理を現象・疾患別に解明することです。特に、神経機能、発生、再生、老化などの生命現象、およびがん、感染症、精神疾患などの疾病に着目しています。

糖鎖改変動物や疾患モデル動物などを用い、生体での糖鎖機能を中心とした研究を展開します。グライコミクスデータや、糖鎖1分子・集合体について明らかにされた基本原理を応用し、糖鎖が生命現象や疾患で果たす役割を解明します。疾患における糖鎖生命原理を明確化することで、関連する疾患の診断や治療に役立つ研究を推進します。

研究例

糖鎖が神経の軸索の再生を制御

神経ではポリシアル酸やプロテオグリカンなどの大きな糖鎖が重要な役割を果たしています。
プロテオグリカン糖鎖が、損傷した神経軸索の再生を制御していることを見出しました
(Sakamoto et al., Nat. Chem. Biol., 2019, 15, 699-709)。

ゼブラフィッシュの全組織グライコームドラフト解明

また、糖鎖集合体の全容を明らかにするため、ゼブラフィッシュをモデルとして、各臓器の全糖鎖構造情報(グライコーム)、関連遺伝子の発現情報などをまとめた研究成果(フランスリール大学との国際共同研究)を発表しています
(Yamakawa et al., Nat. Commun., 2018, 9, 4647)。

所属研究者

門松 健治Kenji Kadomatsu

所長細胞・個体制御部門

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専門
糖鎖 、シナプス、神経軸索、神経芽腫、腎疾患
研究内容
糖鎖が関わる神経生理機能、特にシナプス形成や神経軸索伸長について解明を目指している。また、小児固形腫瘍である神経芽腫や腎疾患などの代謝性疾患など、幅広い病態の分子病態を研究している。

北島 健Ken Kitajima

部門長細胞・個体制御部門

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専門
統合的糖鎖生物学、糖鎖代謝、糖鎖発生生物学、シアル酸代謝不全と疾患、シアル酸代謝の進化
研究内容
研究内容: 糖鎖代謝遺伝子の欠損は、しばしば細胞の生存に影響しないのに対して、個体に種々の病態や死をもたらします。糖鎖が関わる生命現象を分子レベルで理解するには、分子、細胞、個体を包含する統合的糖鎖生物学が必要です。我々はとくにシアル酸に注目し、メダカを用いた逆遺伝学的手法を駆使して、シアル酸代謝酵素遺伝子にドメイン機能、複合体形成、細胞内局在を変化させる構造改変を行い、その効果を個体の表現型として観察するとともに、遺伝子、タンパク質、糖鎖の統合オミックス解析を行っています。

大野 欽司Kinji Ohno

細胞・個体制御部門

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専門
神経筋接合部、先天性筋無力症候群、糖化酵素欠損、RNA代謝、バイオデータサイエンス
研究内容
先天性筋無力症候群は神経筋接合部に発現する遺伝子の先天的なバリアントにより発症する疾患群であり、34種類の原因遺伝子が同定されている。4種類は糖化酵素遺伝子であり、ユビキタスに発現する糖化酵素の機能の部分欠損が神経筋接合部の信号伝達障害のみを呈する病態分子機構と治療研究を行なっている。

尾崎 紀夫Norio Ozaki

細胞・個体制御部門

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専門
精神疾患、ゲノム、モデルマウス、iPS細胞、死後脳
研究内容
精神疾患の発症に強く関与するゲノム変異を同定することにより、ゲノム変異を起点として精神疾患発症に至る病態を解明すべく研究を進めている。具体的には、精神疾患発症関連ゲノム変異を有する患者由来のiPS細胞や死後脳、ゲノム変異を模して作製したモデルマウスを用いて、分子・神経回路病態を検討している。その際、糖鎖に関連するゲノム変異及び糖鎖が神経発達・神経回路形成に関わる点に着目し、精神疾患の病態解明から病態に基づく診断・治療法開発を目指している。

勝野 雅央Masahisa Katsuno

細胞・個体制御部門

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専門
運動ニューロン疾患、パーキンソン病、レビー小体型認知症、核酸医薬、蛋白質凝集
研究内容
運動ニューロン疾患およびレビー小体病(パーキンソン病、レビー小体型認知症)の病態と治療に関する研究を行っている。病態については、主としてマウスモデルや患者検体を用いてオミックスや神経回路解析などの手法で超早期の分子病態の解明に挑んでいる。治療については、低分子化合物や核酸医薬をモデル動物への投与し有効性の解析を行っている。レビー小体病については発症前のハイリスク者のコホート研究を行っており、神経機能評価、画像、血液バイオマーカーを前向きに縦断解析している。

近藤 豊Yutaka Kondo

細胞・個体制御部門

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専門
エピジェネティクス、非翻訳RNA、がん
研究内容
細胞核内でタンパク質、DNAおよびRNAの相互作用は、分子のランダムな拡散現象によってのみでは説明がつかないため、何らかの調節機構が効率的かつ特異的に相互作用を進めていると考えられる。私たちは、がん細胞においてRNAやエピゲノム関連タンパク質などが糖鎖修飾を含めた化学修飾により制御され、発がんに寄与するメカニズムについて研究を進めている。

鈴木 洋Hiroshi I. Suzuki

細胞・個体制御部門

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専門
がん、ゲノム、RNA、糖鎖、データサイエンス
研究内容
がんではさまざまな糖鎖の異常がみられることが古くから知られている。がんにおけるゲノム異常・RNA発現・CRISPRによる生存必須遺伝子スクリーニングなどの大規模データ群を統合解析することにより、正常細胞とがん細胞における糖鎖制御機構の違いや、がんと糖鎖の関係を集約的に解析するプラットフォームを構築している。

西川 博嘉Hiroyoshi Nishikawa

細胞・個体制御部門

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専門
免疫、腫瘍免疫、免疫監視、免疫寛容
研究内容
免疫系は自己・非自己を識別し、微生物などの非自己を排除するだけでなく広範な生命機能に重要な役割を果たしている。とりわけ、がんにおいては免疫系は異常細胞を排除し発がんを抑制しているが(免疫監視)、がん細胞はやがて免疫原性を低下させることなどに加え、様々な免疫抑制機構を獲得して免疫系から逃避し(免疫逃避)、臨床的な「がん」となる。我々は免疫系が保つ生体の恒常性と免疫異常によりもたらされる様々な病態を理解することで、免疫監視から免疫逃避という免疫学の最も重要な課題の理解につなげる研究を進めている。

日比 正彦Masahiko Hibi

細胞・個体制御部門

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専門
ゼブラフィッシュ、メダカ、ゲノム編集、神経発生、神経機能
研究内容
ゼブラフィッシュやメダカなどの小型魚類を用いて、ゲノム編集やトランスジェニックフィッシュの作製を通じて、神経発生に関わる遺伝子や高次神経活動に関わる神経回路の機能解析を行っている。

山中 宏二Koji Yamanaka

細胞・個体制御部門

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神経変性疾患、認知症、グリア、オルガネラ、タンパク質品質管理
研究内容
動物・細胞モデルを作成して神経変性疾患や認知症の病態解明と治療法開発を目指す。特に、神経・グリア細胞連関、オルガネラ連関(ミトコンドリア・小胞体)、タンパク質やRNA代謝異常の観点から病態解明を目指した研究を進めている。

小坂田 文隆Fumitaka Osakada

細胞・個体制御部門

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専門
脳、神経回路、視覚、薬理学、ウイルスベクター、イメージング、ES/iPS細胞、オルガノイド
研究内容
人間を含む多くの動物は、感覚入力を基に外界を知覚・認識し、適切な行動を選択する。このような機能は、脳でどのように情報処理されることで実現されるのか?神経・精神疾患ではどのような情報処理異常が起きているのか?我々はこれらを明らかにすることで、神経・精神疾患に対する新しい治療法を開発することを目指している。当研究室では、生理学・解剖学・薬理学を柱に、分子細胞生物学や発生学、ウイルス学、行動心理学、光学、情報学などを組み合せた多分野融合研究を実施している。

呉 迪(WU Di)

細胞・個体制御部門

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専門
CMP-sialic acid synthetase, sialylation, medaka
研究内容
I am assistant professor in Laboratory of Animal Cell Function, iGCORE (Nagoya University). My research targets on CMP-sialic acid synthetase (CSS), which is prerequisite for the expression of sialic acid (Sia)-containing glycoproteins and glycolipids, because CSS only provides all kinds of sialyltransferases with a donor substrate CMP-Sia. My final goal is to understand the biological significance of CSS at organism level. For this purpose, medaka (mdk) fish was chosen as a vertebrate model, various mutant medaka with a single amino acid substitution in CSS and specific CSS-domain knock-out medaka were established. To understand how CSS regulate sialylation through specific amino acids and domains at organism level, morphological changes and sialylation changes in these CSS mutant medaka strains are studied by biochemical analysis, histological analysis and glycomic analysis.

田嶌 優子Yuko Tashima

細胞・個体制御部門

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専門
O-glycan, Proteostasis, NOTCH
研究内容
O型糖鎖修飾を介したプロテオスタシス維持(タンパク質の発現状態を適切に保つ)機構の解明を目指している。本研究では、O型糖鎖修飾を多数受けるタンパク質の一つで、細胞分化や恒常性維持に必須であるNOTCHシグナル経路で基幹的に働くNOTCH受容体を中心に解析を行なっている。

河合 香里Kaori Kawai

細胞・個体制御部門

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専門
EOGT、疾患モデル動物、病態解析、神経変性疾患
研究内容
細胞外O-GlcNAc修飾を担うEGFドメインO-GlcNAc転移酵素であるEOGTの生体機能の解明を目指している。現在、EOGTノックアウトマウスを用いて血管、神経疾患をターゲットとした病態解析を行なっている。

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