RESEARCH CONTENTS

研究内容

糖鎖分子科学部門

目的・内容

糖鎖の物性・構造・生合成を1分子レベルで理解する

糖鎖分子科学部門の目的は、1分子レベルで糖鎖の物性・構造・生合成を解明することです。そのためには、各糖鎖分子について、全合成、生合成のしくみの解明、構造解析などを行うことが必要です。さらに、合成した各糖鎖のプローブを用いた1分子イメージングやNMR解析などのアプローチを用います。また、糖鎖の元になる各代謝物の構造や量を解析します。

これらの手法により、細胞膜、細胞内での個々の糖鎖分子の挙動、生合成を解明し、それらを統合して糖鎖全体の挙動、機能、生合成の理解と制御につなげます。

研究例

革新的な糖鎖の化学合成法

具体的な例として、難しい糖鎖分子の全合成に有用な効率的反応手法を開発し、糖鎖ライブラリーを構築します。
(Komura et. al., Science, 2019, 364, 677-680)

世界最速の糖鎖1分子イメージング

また糖鎖分子を蛍光ラベルしたり、糖鎖結合分子を開発することによって、各糖鎖を特異的に認識するプローブを開発します。得られたプローブを細胞に適用して、生きた細胞の膜や細胞内での糖鎖の動きを1分子観察します。
(Komura et. al., Nat. Chem. Biol., 2016, 12, 402-410)

糖鎖の作られ方の理解・予測・改変

糖鎖を生合成する糖転移酵素に着目し、それらの反応機構や活性制御の仕組みを生化学や遺伝学を利用して解明するとともに、糖転移酵素の情報を統合して細胞の糖鎖の構造を予測・改変する手法の開発を行います。
(Nagae et. al., Nat. Commun., 2018, 9, 3380, Huang et. al., Dev. Cell, 2021, 56, 1195-1209)

所属研究者

安藤 弘宗Hiromune Ando

副所長糖鎖分子科学部門

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専門
糖鎖合成化学、ケミカルバイオロジー、シアル酸、 分子プローブ、ウィルス感染
研究内容
我々は特に細胞の表面に存在する「シアル酸」という糖を含む糖鎖の化学合成に焦点を当てている。シアル酸を含有する糖鎖は、ウィルスの体内侵入や癌の悪性化に関わるなど疾患と深い関係がある。我々は、これまでに強力な化学合成の手法を開発して、300種以上のシアル酸含有糖鎖の合成に成功しており、近年では、生物物理学との異分野融合研究によって、生きている細胞の細胞膜で運動する糖鎖の可視化に世界で初めて成功している。このような融合研究をさらに進展させ、これまで観ることが叶わなかった糖鎖の実像を浮き彫りにし、生命活動での糖鎖の働きを正しく理解することを目指している。

木塚 康彦Yasuhiko Kizuka

センター長糖鎖分子科学部門

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専門
糖転移酵素、N型糖鎖
研究内容
タンパク質に結合したN型糖鎖の分岐構造を形成する糖転移酵素に着目し、その活性制御メカニズム、疾患との関わりの解明を目指す。構造生物学、有機化学、グライコミクスなどを融合した生化学のアプローチで研究を行っている。これまで、特定の糖転移酵素を欠損するマウスでアルツハイマー病態が軽減されることや、がんの転移を促進する糖転移酵素GnT-V、糖尿病に関わるGnT-IVなどの立体構造やタンパク質選択性などを明らかにしている。また、糖鎖プローブの開発や、糖鎖生合成の阻害剤の開発なども行っている。

鈴木 健一Kenichi G. N. Suzuki

部門長糖鎖分子科学部門

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専門
1分子イメージング、超解像イメージング、糖脂質、GPI-アンカー型タンパク質、シグナル伝達
研究内容
1分子・超解像イメージング技術を用いて、細胞膜の組織化や機能の解明を目指す。特に生細胞膜上の動的な微小ドメイン形成やシグナル伝達促進・制御における糖鎖の役割の解明を目指す。

石田 秀治Hideharu Ishida

糖鎖分子科学部門

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専門
生理活性物質 酵素阻害剤 レクチンリガンド 免疫制御
研究内容
糖鎖を認識するタンパク質(グリコシダーゼやレクチン)に注目し、その阻害剤やアンタゴニストを設計・合成して生理活性物質を開発する。これまでにインフルエンザウィルスシアリダーゼの阻害剤、4種類存在するヒトシアリダーゼのうちNEU1にのみ作用する選択的阻害剤、抑制性B細胞受容体siglec-2 のアンタゴニストの開発に成功し、関連疾患の発症機序の解明や生物反応の制御に応用している。

矢部 富雄Tomio Yabe

糖鎖分子科学部門

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専門
プロテオグリカン,ヘパラン硫酸,硫酸化パターン,食物繊維,小腸上皮細胞
研究内容
ヘパラン硫酸プロテオグリカン糖鎖の糖鎖構造中の硫酸化パターン制御による生理作用調節機構の解明を目指す。特に食品中に含まれる食物繊維の多糖構造特異的に応答する小腸上皮細胞の作用機序において,細胞表面タンパク質と食物繊維との分子間相互作用によって制御される基底膜側ヘパラン硫酸糖鎖の構造制御機構を解析している。

池田 将Masato Ikeda

糖鎖分子科学部門

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専門
超分子化学、ナノバイオ材料、ケミカルバイオロジー
研究内容
糖鎖を含む複数の分子をモジュール型にハイブリッドした新たな分子を設計・合成し、その生体機能の開拓、分子集合によるナノ構造体の構築、および生体機能性材料の創製を研究しています。

藤田 盛久Morihisa Fujita

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専門
小胞体、リソソーム、細胞内輸送、GPIアンカー型タンパク質、糖鎖改変
研究内容
「糖タンパク質の一生(生合成、細胞内輸送、分解)」に焦点を当て、その調節機構の解明を目指し研究を行う。特に、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型タンパク質やパウチマンノース型糖鎖含有タンパク質の生合成や細胞内動態を細胞遺伝学、生化学、細胞学的手法を用いて解析を行っている。さらに、生物医薬糖タンパク質の生産を視野に入れた糖鎖代謝経路可視化ツールの開発や糖鎖改変宿主細胞の構築に取り組んでいる。

岡 夏央Natsuhisa Oka

糖鎖分子科学部門

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専門
フラノシド、立体選択的合成、ドミノ反応、イノシトール、カルバ糖
研究内容
 糖から誘導したヘテロアリールスルホンを用いるドミノ反応によって様々な光学活性シクロペンテン、シクロヘキセンを効率的に合成する手法を開発している。得られるシクロペンテン、シクロヘキセンを、生物活性天然物、イノシトール誘導体、カルバ糖などの有用物質へと効率良く変換するルートを探索する。
 ヨウ化糖をグリコシルドナーとする高立体選択的フラノシル化反応を開発している。反応は完全な1,2-cis選択性で進行し、立体化学的に純粋なフラノシドを効率良く得ることができる。本反応を用いて、細胞表面糖鎖などの効率的な合成を目指す。

田中 秀則Hide-Nori Tanaka

糖鎖分子科学部門

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専門
糖鎖、ADPリボース鎖、選択的合成、無保護合成、化学酵素合成
研究内容
 合成化学を基盤として、タンパク質の翻訳後修飾分子である糖鎖とADPリボース鎖の生物機能をひも解き・操ることを目指しています。
 構造均一かつ純粋な分子を供給できる合成化学は、生命科学研究で極めて重要ですが、分子の合成には多大な労力と時間が必要となります。これこそが、両分子鎖の研究におけるボトルネックでした。そこで私は、「選択的合成」「無保護合成」「化学酵素合成」を利用して、糖鎖分子とADPリボース鎖分子を迅速かつ効率的につくることに取り組んでいます。独自の合成化学でボトルネックを打ち破り、両分子鎖を中心とする生命科学を飛躍的に発展させます。

今村 彰宏Akihiro Imamura

糖鎖分子科学部門

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専門
有機合成、反応開発、糖脂質
研究内容
有機化学的手法による糖鎖合成および糖の誘導化に必要な反応開発。単糖の誘導化からオリゴ糖、多糖まで幅広くターゲットにし、糖鎖科学の発展に寄与する糖誘導体を創出している。

阿部 雄一阿部 雄一

糖鎖分子科学部門

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専門
プロテオゲノミクス、抗原抗体プロファイリング、翻訳後修飾プロテオミクス、糖鎖抗原・糖鎖抗体、オミクス医療
研究内容
これまでに臨床プロテオーム解析技術開発と、トランスレーショナルリサーチへの応用に関する研究に携わってきました。 独自の測定システムとして、免疫複合体に含まれる自己抗原の高感度プロテオーム解析と、そのハイスループット化を実現し、がん特異的タンパク質に由来する抗原の探索へ応用しました。現在、免疫複合体の時空間的モニタリングや、糖鎖抗原・糖鎖抗体の同定といった、抗原抗体プロファイリング技術の更なる拡張を進めています。今後の研究展開として、独自の分析技術と次世代シーケンサーから得られた疾患オミクスとを有機的に統合し、液性免疫活性の指標となり得るような糖鎖抗原・糖鎖抗体の探索といった独自の糖鎖研究を推し進め、iGCOREの発展に貢献したいと考えています。

河村 奈緒子Naoko Komura

糖鎖分子科学部門

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専門
シアル酸、ガングリオシド、脂質ラフト
研究内容
シアル酸含有糖鎖の化学合成研究、さらに合成した糖鎖を用いたケミカルバイオロジー研究に取り組んでいます。特に、細胞膜上のあらゆるシグナル伝達を担っている脂質ラフトにおけるシアル酸含有糖脂質(ガングリオシド)の働きに注目しています。

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