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この研究所について

統括所長からの挨拶

糖鎖生命コア研究所 統括所長
門松 健治

多様性の中に潜む糖鎖の本質を解き明かし、
人類の健康と福祉に貢献する知を創出する

生命とは何か。生きているとはどういうことなのか――。私たちはこの根源的な問いに向き合い続けながら、「なぜ人は病気になるのか」「どのようにすればそれを克服できるのか」という課題にも挑んできました。自然への知的好奇心、そして生命への敬意と慈しみの心こそが生命科学を前進させる原動力であるという信念は、2021年の発足以来、変わることなく受け継がれています。こうした問いに応えるため、私たちは生命現象を支える重要な分子である「糖鎖」に着目し、その本質解明に取り組んでいます。

本研究所は設立以来、生命活動の重要な担い手である糖鎖に焦点を当て、分子・細胞・個体レベルを横断する研究体制を着実に整備してきました。さらに近年、人工知能(AI)は飛躍的な進歩を遂げ、膨大かつ複雑な生命データの解析を可能とし、生命理解の方法論そのものに変革をもたらしつつあります。多様で動的な構造を持つ糖鎖の世界は、まさにこうした新たなアプローチを必要とする領域であり、本研究所でもAI基盤部門を設置するなど、その融合を推進してきました。

こうした異分野融合の進展により、糖鎖が担う多様でダイナミックな機能の理解は大きく前進し、これまで見えていなかった生命現象の新たな側面が明らかになりつつあります。
とりわけ、ヒトにおける糖鎖の全体像を体系的に捉えるヒューマングライコームプロジェクトの推進により、研究は新たな段階へと加速しています。また、糖鎖研究の国内外ネットワークであるJ-GlycoNetを通じて連携が広がり、フランス国立科学研究センターとの国際共同研究拠点(Glyco-MIRAI)の設立をはじめ、本研究所の取り組みは分野横断的かつ国際的な広がりを見せています。これらの活動は、基礎研究の深化にとどまらず、医療や創薬といった社会的課題の解決に向けた応用へとつながりつつあります。

日本がこれまで世界を先導してきた糖鎖研究は、今、新たな段階へと進みつつあります。本研究所に集う研究者たちは、それぞれの専門性を融合させながら、糖鎖が織りなす複雑な生命現象の解明に挑んでいます。その成果はやがて大きな知の流れとなり、生命科学全体に新たな視点をもたらすとともに、疾患の理解や新たな治療法の創出にも寄与することが期待されます。
これまでに培ってきた基盤の上に立ち、私たちは今、糖鎖の機能と潜在力をさらに深く掘り下げ、その成果を社会へと還元していく段階にあります。多様性の中に潜む糖鎖の本質を解き明かし、人類の健康と福祉に貢献する知を創出する――その使命に向けて、これからも歩みを進めてまいります。

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