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木塚グループの論文が“Journal of Biological Chemistry”誌に掲載されました

似て非なる酵素が糖鎖を作り分ける仕組みを解明

~2種類の酵素が別々のタンパク質に同じ糖鎖を合成する~

 国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学糖鎖生命コア研究所(iGCORE)の木塚康彦教授、自然科学技術研究科1年の長田菜緒子さんらの研究グループは、大阪大学、広島大学との共同研究で、糖尿病などに関わる2つの類似した糖鎖合成酵素GnT-IVaとGnT-IVbが異なる働きを持つことを発見しました。GnT-IVaとIVbは、タンパク質の上の糖鎖に枝分かれ構造を作る酵素で、これまでほとんど同じ働きを持つと考えられてきましたが、本研究により、この2つの酵素が異なるタンパク質の上に糖鎖を作ることが明らかになりました。

これまで、多くの糖鎖合成酵素については、糖鎖をつけるタンパク質を選ぶ仕組みがほとんど明らかにされていませんでした。本研究は、様々なタンパク質の上に複雑な糖鎖が作られる仕組みの解明に重要な知見を与えるとともに、糖尿病などの病態解明や治療法開発にも役立つことが期待されます。

本研究成果は、2022年8月18日にJournal of Biological Chemistry誌のオンライン版で発表されました。

似て非なる酵素が糖鎖を作り分ける仕組みを解明

 

【今後の展開】

 本研究により、GnT-IVaとGnT-IVbというよく似た糖転移酵素が異なる機能を持つことが明らかになりました。糖転移酵素の中には、同様に、類似した配列と性質を持つ酵素群(ファミリー10)が多く存在していることが知られています。しかし、同じファミリーの中の個々の酵素に機能の違いがあるかどうかについてはあまりよくわかっていません。特に、これまで糖転移酵素については糖鎖に対する作用の研究が中心だったため、タンパク質部分への作用の違いについての知見はあまりありません。本研究が引き金となり、今後同じファミリーに属する個々の糖転移酵素のタンパク質選択性についての研究が進むと期待されます。またGnT-IVaは、糖尿病患者でその量が低下することや、GnT-IVaを欠損したマウスは糖尿病様症状を示すことが知られています。今後、GnT-IVaとIVbが働くメカニズムをさらに明らかにし、これらの酵素の活性を制御する技術を開発することで、糖尿病などの疾患の新たな治療戦略へ結びつくことが期待されます。

 

【論文情報】

雑誌名:Journal of Biological Chemistry

タイトル:Examination of differential glycoprotein preferences of N-acetylglucosaminyltransferase-IV isozymes a and b

著者:Naoko Osada, Masamichi Nagae, Miyako Nakano, and Yasuhiko Kizuka

DOI番号:10.1016/j.jbc.2022.102400

論文公開URL:https://www.jbc.org/article/S0021-9258(22)00843-2/fulltext

 

論文内容に関する問い合わせ先: kizuka【at】gifu-u.ac.jp   (【at】を@に変えてください)

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