NEWS & INFORMATION

新着情報

論文

藤田教授グループの論文が“Journal of Cell Biology”誌に掲載されました

リソソーム・エキソサイトーシスによるパウチマンノース糖鎖の放出機構を解明

岐阜大学糖鎖生命コア研究所(iGCORE)の藤田盛久教授、鈴木健一教授、名古屋大学iGCOREのRebeca Kawahara特任准教授、マコーリ大学のMorten Thaysen-Andersen准教授(名古屋大iGCORE兼任)、江南大学のWeiwei Ren大学院生(岐阜大iGCORE特別研究学生)らの研究グループは、パウチマンノース糖鎖の細胞表面発現や細胞外へ放出がリソソーム・エキソサイトーシスによって行われていることを明らかにしました。

【研究成果のポイント】

・パウチマンノース糖鎖はリソソームで形成され、リソソーム・エキソサイトーシスで細胞外に露出することを発見。

・リソソーム・エキソサイトーシスを調節する因子として、MYO18Bを同定。

・癌細胞のリソソーム・エキソサイトーシスは焦点接着斑の近傍で行われることを解明。

癌細胞では、細胞表面の糖鎖構造が変化し、癌の増悪化や転移に深く関係しています。多くの癌細胞には、通常の哺乳動物細胞では稀にしか見られないパウチマンノース糖鎖と呼ばれる短鎖のN結合型糖鎖構造の量が増加していることが知られていましたが、その形成機構や細胞表面に発現する機構については不明でした。本研究では、パウチマンノース糖鎖を有するタンパク質がリソソームで生成され、リソソーム・エキソサイトーシスによって細胞外へ分泌されることを明らかにしました。興味深いことに、リソソーム・エキソサイトーシスは、アクチン細胞骨格を細胞外マトリックスに接続するタンパク質複合体である焦点接着斑(フォーカルアドヒージョン)の近傍で優先的に起きていることが分かりました。ゲノムワイドなスクリーニングを通じて、アクチン束を連結する役割を持つMYO18Bが焦点接着斑の成熟に必要であり、リソソーム・エキソサイトーシスを促進し、パウチマンノース含有リソソームタンパク質を細胞外環境に放出することがわかりました。さらに、焦点接着斑で局所的に活性化される機械感受性チャネルであるPIEZO1が、リソソームと細胞膜の融合に必要なカルシウムイオンを輸送することが示されました。本研究により、リソソーム・エキソサイトーシスと焦点接着斑の密接な関係が明らかになり、癌細胞におけるパウチマンノース糖鎖の細胞外露出の役割とリソソーム・エキソサイトーシスの意義が明らかにされることが期待されます。

本研究成果は、2025年1月3日にJournal of Cell Biology誌のオンライン版で発表されました。

図:リソソーム・エキソサイトーシスによるパウチマンノース糖鎖の細胞外露出機構

【論文情報】

雑誌名:Journal of Cell Biology

論文タイトル:MYO18B promotes lysosomal exocytosis by facilitating focal adhesion maturation

著者名:Wei-Wei Ren, Rebeca Kawahara, Kenichi G. N. Suzuki, Priya Dipta, Ganglong Yang, Morten Thaysen-Andersen, and Morihisa Fujita*(*: 責任著者)

DOI:https://doi.org/10.1083/jcb.202407068

糖鎖生命コア研究所への
電話でのお問い合わせはこちら

052-789-5365

( 受付時間:平日 9:00-17:00 )

糖鎖生命コア研究所への
メールでのお問い合わせはこちら

Contact us

iGCORE パンフレット

iGCOREのパンフレット(PDFファイル)はこちらからダウンロードできます。