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木塚教授らのグループの研究成果が“iScience”に掲載されました

生物種固有の糖鎖を作る酵素遺伝子を同定 ~糖鎖の枝分かれを作るMGAT4ファミリーの遺伝子進化の解析~

岐阜大学糖鎖生命コア研究所の木塚 康彦 教授、自然科学技術研究科の森後 碧玲さん(2025年9月修了)らの研究グループは、リール大学などとの共同研究で、生物種に固有の糖鎖を作る酵素遺伝子を同定しました。
 タンパク質に付く糖鎖1)には膨大な種類があり、細胞の中で多くの糖鎖合成酵素により作られます。それぞれの糖鎖の量はこれら酵素の働きにより制御され、それが疾患により異常となることや、生物種によって異なることが報告されていますが、それらの仕組みはまだ十分にはわかっていません。
 特に、主要な糖鎖の一つであるN型糖鎖2)には、種によって異なる多くの枝分かれ構造があります。ヒトでは、特定の枝分かれ構造の有無が糖尿病やがんと関連することが示されています。本研究では、この種固有の糖鎖を作る、MGAT4という酵素に着目し、この酵素をコードする遺伝子の種による違いを解析しました。その結果、MGAT4は7つの遺伝子からなり、ヒトではAとBが主に働いていること、魚ではDが、トリではFが働いていることなどがわかりました。本研究は、生物種ごとの糖鎖形成の仕組み解明につながることが期待されます。
 本研究成果は、現地時間2025年10月15日にiScience誌のオンライン版で発表されました。
 なお、本研究は、文部科学省の大規模学術フロンティア促進事業「ヒューマングライコームプロジェクト」および研究拠点形成事業(Core-to-Coreプログラム)による支援を受けています。

研究の概念図

本研究のポイント

  • タンパク質に付いたN型糖鎖の枝分かれの仕方は生物種によって異なり、ヒトではN型糖鎖の枝分かれが糖尿病やがんと関連しています。
  • 種固有の糖鎖枝分かれを作るMGAT4酵素ファミリー3)は、7つの遺伝子からなることがわかりました。
  • MGAT4酵素ファミリーは、作用の異なる2つのグループ(A/B/D、C/E/F/G)に分けられ、ヒトではAとB以外ほとんど機能していないことがわかりました。
  • 魚ではDが、ニワトリではFが強い酵素活性を持つなど、MGAT4ファミリーの活性の違いが、種による糖鎖構造の違いを生む一因と考えられます。

 

論文情報

  • 雑誌名:iScience
  • 論文名:Evolutionary analyses of the animal glycosyltransferase family 54 reveals two β1,4-N-acetylglucosaminyltransferase families
  • 著 者:Aoi Morigo, Roxana Elin Teppa, Masamichi Nagae, Hirokazu Yagi, Yasuhiko Kizuka*, Anne Harduin-Lepers* (*共同責任著者)
  • DOI:10.1016/j.isci.2025.113788

 

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