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木塚グループの論文が“Communications Biology”誌に掲載されました

糖尿病に関連する糖鎖合成酵素GnT-IVaの新たな仕組みを発見

 国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学糖鎖生命コア研究所(iGCORE)の木塚康彦教授らの国際共同研究チームは糖尿病にも関わる糖鎖合成酵素GnT-IVaの新しい反応機構を発見しました。GnT-IVaは、タンパク質の上の糖鎖に枝分かれ構造を作る酵素で、糖鎖を作るための領域の他に、これまで知れている糖鎖合成酵素には見られない、糖鎖と結合する領域(レクチン)があることを発見しました。さらに、その領域の立体構造を明らかにすることにより、レクチンが酵素活性に不可欠であり、特定の糖鎖と結合することで効率的な糖鎖合成をすすめていることを明らかにしました。本研究成果は、タンパク質の上に複雑な糖鎖が作られる仕組みの解明に重要な基礎的知見を与えるとともに、糖尿病の病態解明や治療法開発にも役立つことが期待されます。

 本研究は、国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学糖鎖生命コア研究所(iGCORE)の木塚康彦教授、国立大学法人大阪大学微生物病研究所の長江雅倫助教、学校法人東北医科薬科大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、University of Mississippiらのグループにより実施されました。

 本研究成果は、2022年7月19日(火)18時(日本時間)にNature 姉妹誌Communications Biology誌のオンライン版で発表されました。

糖尿病に関連する糖鎖合成酵素GnT-IVaの新たな仕組みの発見

 

 

【今後の展開】

 本研究により、GnT-IVaのレクチンドメインの構造や、このドメインを介したユニークな反応機構の存在が明らかになりました。また木塚教授らは最近、N型糖鎖の別の分岐構造を作るGnT-Vと呼ばれる酵素においても、触媒ドメインとは別のドメインを介して基質となるタンパク質を認識することを明らかにしています(https://www.gifu-u.ac.jp/about/publication/press/20220131.pdf)。これらの知見は、それぞれの糖転移酵素が独自の機構で基質タンパク質に作用して複雑な糖鎖を作り上げていることを示唆しています。一方、GnT-IVaのレクチンドメインと糖鎖との結合がどのようにして効率的な酵素反応に寄与しているのか、その詳細はまだ明らかになっていません。今後、触媒ドメインを含むGnT-IVa全体の立体構造がわかれば、GnT-IVaの働く仕組みがさらに解明されると期待されます。また本研究は、糖鎖一般においてまだ未解明である「タンパク質ごとに異なる糖鎖がつく仕組み」を考える上で重要な知見を与えるとともに、糖鎖が関わる糖尿病の発症の仕組み解明に貢献すると期待されます。

 

【論文情報】

雑誌名:Communications Biology

タイトル:Discovery of a lectin domain that regulates enzyme activity in N-acetylglucosaminyltransferase-IVa (MGAT4A)

著者:Masamichi Nagae, Tetsuya Hirata, Hiroaki Tateno, Sushil K. Mishra, Noriyoshi Manabe, Naoko Osada, Yuko Tokoro, Yoshiki Yamaguchi, Richard J. Doerksen, Toshiyuki Shimizu, and Yasuhiko Kizuka

DOI番号:10.1038/s42003-022-03661-w

論文公開URL:https://www.nature.com/articles/s42003-022-03661-w

論文内容に関する問い合わせ先: kizuka【at】gifu-u.ac.jp   (【at】を@に変えてください)

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