国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 糖鎖生命コア研究所(iGCORE)の坂本一真准教授教授、門松健治教授らの研究グループは、胎児期と成体の神経軸索の形成反応の違いに糖鎖(プロテオグリカン)が深く関与していることを発見しました。神経再生に糖鎖が利用できる可能性を見出しました。成果はExperimental Neurology(366号:8月)に掲載され、坂元准教授の実験結果の図が、同誌の表紙に掲載されました。
成体の神経は通常、損傷した後には再生できません。この仕組みの一部にも糖鎖が深く関与しており、「コンドロイチン硫酸」と呼ばれる糖鎖が再生を阻害しています(坂本准教授ら(Nat.Chem.Biol., 2019))。胎児の神経は再生可能です。胎児期にはGlypican-2と呼ばれるプロテオグリカン(巨大な糖鎖構造を持つタンパク質)が存在しています。Glypican-2には「へパラン硫酸」という糖鎖が結合しています。Glypican-2はコンドロイチン硫酸による神経再生を阻害する効果を打ち消すことを見出しました。
神経の再生に様々なかたちで「糖鎖」が大きく関与することを示すものになります。
雑誌名:Experimental Neurology
論文タイトル:Glypican-2 defines age-dependent axonal response to chondroitin sulfate
著者名:Ouchida J, Ozaki T, Segi N, Suzuki Y, Imagama S, Kadomatsu K, Sakamoto K.
DOI: https:/www.doi.org/10.1016/j.expneurol.2023.114444.